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貝と生きる|砂川旅館 − 砂川博保さん

隠岐の島の北東にある布施地区。

海に面したこの地で、釣り船旅館「砂川旅館」を営む砂川さんにお話を伺いながら、貝採りの現場と貝づくしの味を体験してきました。

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海と共に生きる

隠岐の島の海の玄関口、西郷港から車を走らせること約30分。海に面した道沿いに見えてきたのは、砂川さんご夫婦が営む釣り船旅館「砂川旅館」です。

ご主人の博保さん。漁師だったお父様の影響も受けて海に対する想いは強く、高校まで隠岐の島で過ごした後、大阪の中央市場で働かれていました。

しかし「やっぱり、地元のさざえやあわびを採ったりするのが好きだった」ということで、島に戻られて今に至ります。

もちろん、仕事は海に出ること。貝を採るのはもちろんですが、海釣りを楽しむために島を訪れるお客さんを自らが操縦する漁船で案内したり、翌日に宿で提供する魚を釣るために夜の海に出たり。陸の上で過ごす時間よりも、海の上で過ごす時間のほうが長いのでは?と感じるほどです。

そんな博保さんにご案内いただいたのは、旅館から船で約20分ほど離れた海に浮かぶ小さな岩礁。スズメダイや天然のハマチが泳ぐ透明な海に囲まれ、隠岐で「クロクチ」と呼ばれるムラサキインコやカメノテ、そしてフジツボが無数に生息しています。

打ち寄せる波と流れる風を浴びながら、小さなナイフで海の恵みを引きはがす。その背中からは、海を愛してやまず共に生きることを楽しんでいることが伝わってきます。

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絶品!漁師ごはん

こうして採られた貝と仲間たちは、奥様の手にバトンタッチ。旅館で出される夕食の材料となります。

隠岐の島の南西にある、旧都万村の漁師の家に生まれた奥様が作る料理は、もちろん貝と魚づくし。台所で包丁を握るようになったのは結婚後、砂川旅館に入ってからのことですが、さざえの身を殻から取り出したり、小さなにいなの殻から身を傷つけずに、まち針を使って引っ張り出したり。食卓で貝に教わり台所で研鑽を積んできたことで腕に宿った技術を駆使して、次々と調理が進んでいきます。

刻んださざえと、野菜や油揚げそしてお豆腐を、少し甘めの醤油味で煮込んだ「さざえのへか」。殻から取り出したにいなを、ナスと一緒に煮付けた「ナスとにいなの煮付け」。そして、にいなの旨みがたっぷり溶け込んだお吸い物。

これらの料理に共通するのは、具材である貝が出汁材になっていること。島の台所で継承されてきたのは、素材の旨みを効かせるための知恵と工夫。必要以上に味の足し算をすることはありません。

ここに、あわびの刺身や酢味噌で食べるい貝、更に目の前に広がる海で採れた地魚の刺身や焼き魚。圧倒的な品数はまさに漁師ごはんのベストセレクション。顔はほころびっぱなしです。

普段お目にかかれない貝を使ったり、知っている貝と未知なる調理法で作られる家庭料理は、恵みを与えてくれる海と、そんな海のある日常の中でこそ生まれたもの。地元じゃないと味わえません。

一口ごとに鮮度が生み出す瑞々しさや、温もりが詰まった美味しさを感じたのは、こうした料理が一番のごちそうだと、心が喜んでいたからに違いありません。

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店舗情報

店名
砂川旅館
住所
〒685-0412 島根県隠岐郡隠岐の島町布施34
TEL
08512-7-4126
チェックイン/チェックアウト
特になし(要相談)
室数
5室(10名)/和室
駐車場
有(5台)
<span>島根県隠岐郡隠岐の島町布施34</span>