05-01-00

貝と生きる|池田鮮魚店 − 池田仁司さん

「貝の王国 隠岐の島」を代表する貝の一つが白バイ貝。生でも煮ても焼いてもよしの美味しさは、島の食卓に欠かせません。

そんな王国の万能選手について、島の近海で採れる魚介類を専門に扱う「池田鮮魚店」のご主人、池田仁司さんにお話を伺いました。

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万能食材、それが白バイ貝。

種類豊富な貝に会える「貝の王国 隠岐の島」。その中でも、島内の居酒屋やホテル、あるいは家庭の食卓で特に見る機会が多いのが白バイ貝。

生でよし、煮てよし、焼いてよし、フライにしてもよし。引き締まった身の弾力と上品な甘さは調理法を問わず、しかもその美味しさは通年で楽しめます。そんな、島の生活に欠かせない白バイ貝について、隠岐の島近海で採れる魚介類を専門に扱う池田鮮魚店のご主人、仁司さんにお話を伺いました。

まず取り出されたのは、白い発泡スチロール製の箱。そこには「大、小、豆」の文字が印字されています。お刺身で食べるのは大、殻ごと煮付けるときには豆サイズといったように、調理法によって3種類の白バイ貝は使い分けされます。

蓋を開ければぎっしり詰まった貝の姿。「氷を敷き詰めたところに白バイ貝を置きっぱなしにすると、水膨れしちゃうんだよ。」ということで、新聞紙、バイ、新聞紙の順に重ねて、冷蔵庫の中で大切に保管されています。手に採ればサイズの違いは一目瞭然。手のひらにすっぽり収まる豆サイズに対して、大には圧倒的な存在感を覚えます。

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下ごしらえには、愛情を込めて。

まな板の上に乗せて包丁を手にしたら、美味しくいただくための下ごしらえの始まりです。

まずは、貝殻から身を取り出すこと。貝殻と聞いて思い浮かぶであろうキーワードは「固い」。ですが、白バイの殻は見た目よりも柔らかく、包丁の胴部分を押し当てればあっという間に殻が割れ、中から全身が姿を現します。

濃厚なコクが詰まったワタを切り離したら、身をボウルに移してそこに大量の塩を加えたら手で揉み洗い。これでヌメリを取り除きます。

新鮮なバイの身の弾力は押し返さんとたくましく、まるでうどんの生地を捏ねるように、腕だけではなく全身を使って力強く揉み込みます。

ヌメリと塩が一体になり、薄白の膜が身を覆うような状態になったら、たっぷりの水を入れて洗い流します。

あとは、ヌメリがなくなるまで一連の作業を繰り返すだけ。さっきまで素手でつかもうとしても、ツルッと滑っていたのが、まるでお風呂上がりの肌のように、触れれば指先にピチピチと弾力が伝わってきます。

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しなやかな身の弾力と、繊細な甘み。

こうして下ごしらえを終えた白バイの身。その鮮度は包丁を入れたときにわかるそう。

「身の締りが強いから、薄く切ると身が反るんだよ」。滑らかな包丁さばきで薄造りにされた身は、まるで花絨毯のようにお皿の上に繊細で美しく輝きます。

一切れ口に含めば、磯の香りが隅々まで広がり、うっすらと帯びた塩味が際立てる甘さが、噛むほどに濃厚なものになっていきます。お醤油なしでも最後まで美味しくいただけるのは、鮮度と下ごしらえの賜物。「すごい!」の言葉が自然と口から発せられます。

実は仁司さんの白バイ貝に対するこだわりは、島内の中でも人一倍。その厚さと人柄、そして手仕事に惚れてしまいました。

「隠岐の白バイ貝を、美味しく食べてほしい」。そんな気持ちが詰まった白バイ貝は、今日も島内のどこかで、美味しさの花を咲かせていることでしょう。

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